2006年05月23日

★私の中



できるだけ早く言って下さい
私を安心させるあの言葉を
まるで世界を覆っている
大きな偽善のようなあの言葉を

もう待てない!
私の中のあなたが
叫びだすのを止められず
始まったのは悲劇の終幕

沈黙……
…………
そして私は目を閉じて
あなたを殺す準備をする
できるだけ早く死んで下さい
私が安心できる日が来るために
今のあなたがいなくなれば
私の中のあなたが唯一になるから


猫

★ゆれ



そんな風になるものだと云った
変わりばえのしない夏の下
時折吹く流れを払い
過去を振り返り笑って
二度も過ちを犯したのに
まだ許されている気がする

コーヒーがひどく古くなって
どれほど砂糖を入れればいいのか
扇風機を組み立て間違えて
いつも首をかしげているように見える

あの香り 忘れたときから
この権利を 失っていたのなら
もう一度 握り直せるなら
幻想に 間違いないのだから

こんな風になってしまった
面影さえ知らないままに
あの写真の中にあった
木の葉ぐらいは覚えていたい
どうしてもっと強く想って
窓の外へ飛ばなかったのだろう
今更この胸の鳩 手放したとしても
すぐにこの手に戻ってきてしまう


猫

★雲の心


街を出て一歩目だった
振り返るには過去が多すぎて
重たい肩が上がらないまま
その場に倒れこんでしまいたかった

雲は少しでも風に抗いたく
まして光を防ぎたく
ああしているのに ここに
失えさえしない土がうずくまる

戻れないはずの決意の奥に
許される中で残された道
こんな簡単なことに気付かなかった
この旅の始めから背中に罪が乗っているのだった

消えかけたものに求めすぎた日々
この足が立ちすくむことを一度だけ
夢の中へと誘い込むのならば
この旅に意味を求めるのはもうやめにしよう


猫

2006年05月21日

★そんな風に こんな風に


押さえつけて
 私になって
自由になって
 何もできなくて

風邪を引いて
 元気になって
息を止めて
 笑顔になって

いつも
いつも
不思議な命
いつか
いつか
確実になりたい

雨が降って
 砂漠になって
空が晴れて
 傘を買って

夢を見つけて
 破れるの怖くて
悪いことして
 ばれるのが楽しみで

なぜか
なぜか
大事な心
どうか
どうか
完全と呼ばれたい

そんな風に
よろしく
よろしく
こんな風に
どうぞ
どうぞ
もし一度だけ
許してくれるなら
本音を言ってしまう
皆ズタズタにして


猫

★経過



まずは
目をつぶって

小鳥を殺す
夢を見て

友を裏切る
準備をして

罪人を愛する
勇気を持って


有る?

見て

飛ぶ?

追い

次に
耳をふさいで

老人の首を
両手でつかんで

愛をののしる
刹那を待って

英雄を貫く
剣を持って


知る?

見て

去る?

掘り

苦しんで
悲しんで
悪ぶって
涙して
酔いつぶれ
吐き流し
眠り続け
起き上がって


有る?

見て

飛ぶ?

追い


猫

★残り火



残り火の音
気にしないふり
夜闇に星
見てるふりして

始まったばかりの
物語の中で
過去を語るのは
少し歯がゆいけど

香る 肩からの
垂れる 黒髪に
僕は 少しずつ
二つ 確信した

残り火も消えて
二人近付いた
夜闇が風
そっと運んでくれる


猫

★朝


悲しい事は全て
生きてる証の名残
まずは朝を採ろう
手首切る前でも

今日の月が
どこにあるのか
知らない奴等さ
宇宙を語るのは

嬉しい事は全て
死んでく定めの余韻
まずは朝を採ろう
絶望が胸えぐっても

風が吹いても
季節を知らずに
旗を振っては
花を踏み潰す

明るい日の光
無限の色含んで
昨日よりも暗い
世界を照らしてる


猫

2006年05月20日

★端くれ



世界の端くれなら
心も安らいで
土に帰る時
じっと待っていられるかもしれない

答えがわからないより
偶然知ってしまうほうが
恐ろしいことだと
なぜ認めようとしないのか

生きていることじゃなくて
生きようとすることに
瞳から落ちる分身たち
犠牲にしてみたい

もっと矮小になって
誰にでも笑われて
最後まで薄気味悪く
食らいついていられたなら

奏でる音 捨て去る星
疑う道 進み歩けば
消え行く希望 追わない覚悟
今ただ欲望で 奇跡を起こす

世界の端くれなら
冠を売り飛ばして
鍵をかけた心
大空に放り投げた


猫

2006年05月19日

★理想 それとも 現実

ばらばらと
崩れて
あたしが
あたしで
なくなれば
いいのに
ずっと
このまんま

誰かが
言う様に
かわいく
なれれば
全てが
上手くいく
そんな気も
する

もしも
かなうなら
何を
願うのか
決めて
おかないと
偶然は
無邪気に
どっかに
行っちゃう
待ってよって
叫んでも
行っちゃう

助けてなんか
ほしくない
自分で
どうにか
させてくれる
ようにして
何でも
黙ってて
いちいち
正しくなんて
しようと
しないで
間違ってても
駄目に
なっても
あたしは
あたし

追いかけて
みるのも
悪くないかも
しれない
理想
それとも
現実
難しいことは
置いといて
ちょっとは
動かして
どきどきして
みたいんだ


猫

★夜



通りは二人
二人ずつで
夜伽へ向かう
向かって進む

私は一人
一人だけで
風を受ける
受けて進む

嫌な思い出
心を掴み
離しはしない
苦痛となって

私に愛を
説いた唇
今は誰の
うなじをなでる?

私に愛を
説いたあの人
今は誰に
嘘を教える

私は独り
独りの夜を
どうして進む?
忘れられない……


猫