2017年04月11日

★パンタグラフ中心の生活


パンタグラフ中心の生活.pdf

2011年、『詩と思想』の読者投欄稿年間優秀作に選ばれた作品です。
個人誌『パンタグラフ』の名前の由来となりました。
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2014年07月20日

★A    とB    と僕の三角関係


小さい頃僕はA    が欲しくなって
どうしても手に入れたかったけれど
A    を買うことができなかった
大人になったらA    が買えるのに
それだけを思って生きてきた

大人になった僕にはA    を買うお金があって
いよいよA    がある街まで
A    の姿を想像しながら向かおうとしたところ
突然立ちはだかる影があった

「私は昔からあなたに買われたかった
貴方のことを思い続けて
いよいよあなたに会うことができたのだ」

それはB    だった
B    はいつまでも私に対して語り続け
その熱意は私の体へと伝わってきた
けれども私はA    を買いたいのだ
B    を買えばA    は買えない
私はB    を振り払って進んだ

そしてついにA    のもとにたどり着くと
A    は冷たいまなざしでこう言った

「私はあなたのことを何とも思っていない
貴方は確かに私を買えるけれど
私の心までも買える訳ではない」

僕は混乱して穴を掘って
地球の裏側に逃げ出した
そこから声を張り上げて
その勢いで宇宙を舞った
そして火星の山に落ちてくると
B    が僕に手を差し伸べてくるのだった

「私は心を捧げるつもりです。
貴方の心は百年かけてでも溶かしてみせます
さあ、私を買ってください」

僕は土星のわっかをつかんで飲み込んだ
星屑が結論を出してくれればいいのに
魅力的なA    
破壊的なA    
奇跡的なA    
現実的なB    
意識的なB    
妥協的なB    
A    とB    の間
A    とB    の違い
A    とB    と僕の連鎖

心も体もぐるぐると回って
自分がどんな結論を出したかも知らなくて
気が付くと幸せな家庭の中で
家族でバーベキューしていたりして
息子が目を輝かせながら
「A    がどうしても欲しいんだ!」
と叫んだので
長い夢を見ているのだと気付いてしまって
目が覚めたときには誰もいなくて
もはやA    もB    もどうでもよくなっていた

嘘だ
嘘だけれどどうしようもないのだ
太陽の炎で迷いを消毒して
死ぬまでにはちゃんと選択することを誓ったのである
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2011年06月30日

★君の名


君がざっくり付けた傷から
新しい芽が噴出した
学者が来て言ったよ
「新種だ ただ 名付けるほどではない」
伸びていくものの中に
美しいものを見つけたから
僕が名前を付けた
もちろん君の名だ

すくすくと育って
秋には実を付けた
食べたらまずかった
噂を聞きつけて
君がやってきた
君は幹に傷を付けて
樹液を吸った
君の名を読んだ
二人の君がこちらを向いた

120年後
土になった僕が見上げる先で
まだ成長し続けている
傷付けられることなく
伸び続ける先には
限界が必ず待っている
君の名を呼んだ
誰も応えない
いや この胸が震えている
君は世界中に散らばっていた
そして
僕は僕を傷付ける
新しい芽が噴出した

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2011年02月05日

★抹茶オレ


気付いてしまった
全く交わらないような
二人がこうして
手を繋いでいるって

離れてしまったら
二度と見つけられないような
別々の世界で
泳いでいたけれど

私たちこの時代にしか
出会えなかった 抹茶オレ
偶然も必然も
信じがたい とろけてる

異なる好みの中で
二人とも頼んだ初めてのもの
大事にしたいけれど
忘れてしまってもいい

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2011年01月27日

★ささやき


まだ本当の夜を知らない時
閉じ込められた物置の中で
私は新しい世界を知ったつもりでいた
光の無いその世界では
確かなものはあまりないので
私はずっと指をくわえていた
私だけは消えてしまわぬように

光あふれる夜の下では
私など要らないのではないかと思う
太陽の熱に溶け込んでしまっても
気付かぬまま時は流れて
私に似た誰かが
私に似た何かをしていて
そんな繰り返しにも誰も気づかない ふり

灯りを全て壊して
鼓動をトイレに吐き出して
布団をかぶって震えた
それでも光は私を探し当てて
隠微なささやきを繰り返すのだ
君は必要なんだ
意味はあるんだ
君だけの世界だ
そんな言葉で世界は決して私を離さない

逃げられないことに気が付かなかった
あの頃の自分を取り戻して
勘違いでもいいから
夜もあざとすぎるこの世界で
もう一度私を見つけたいんだ

リボン

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2011年01月22日

★現実


現実が全部だって
刷り込まれたんですね
それはかわいそうな
その他大勢認定

世界は何かの一部で
何かも何かの一部で
わからないことだらけだけど
知らなくても平気なんです

現実に飽きたって
思い込まされてますね
余白の片隅で
うじうじしているだけなのに

世界を少しかじったら
新しい世界がこぼれた
わからないことが起きても
知ってるふりででいいんです

現実の枠の中で
解決している事柄は
恐ろしく味気ないけど
あなたにお似合いかもしれない


リボン
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2011年01月16日

★届く


伝えられることは
全て伝えました
祈り届かぬことは
全て悟りました

潰れた靴を抱えて歩く
行き止まりだと知らされている
引き返し方も教えてくれれば
良かったのに

どうして通り過ぎる人は
知っているふりをするの
優しさ見せられる
自分を誇りたいの

伝えられることは
何も伝わりませんでした
祈りだけ少し
届いた気がします

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2011年01月07日

★この星


月の裏側でひっそりと生まれました
わけあってこの星に来たのですが
みなさんとは違うので色々と大変です
平等という概念がわかりません

あなただけを気に入ったので
あなただけに優しくします
あなたはそれを嫌うけれど
私はそれを気にしていません

連絡する世界の中で
特別な存在を作ったなら
他の誰でもなく
その人を大事に思うでしょ
そうやって生きていくなら
他の人にはかまってられない

月に帰る気はないけど
この星は本当によくわからない
でもあなたがいるという
そのことだけで理由は十分

本続きを読む
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2011年01月01日

★三角西港


漁船がふらふらと揺れる
僕はまっすぐにそれを見ている
狭い海は永遠を拒否して
常に形を変えている

過去ここにあった栄光などではなく
今ここにある静寂が
私を過去へと誘い始め
私に現在を認知させる
この波は次の波とは違うし
この波はすでにこの波ではない
ただ私はそれらを波とも見ずに
漁船の背景に仕立て上げる

我がままに過去を解釈しても
咎める風は吹かない
今ここにあるのは
今ここにいる私も含んでいて
空はただ無関心で
それでも波の色を作って
流れてなどいない
時は停滞する
断絶したものをつなぎ合わせるのは
歴史を欲する私欲だ
我がままで足を止めて
壁の中に逃げ込んだ

四角い窓の向こうに
押し込められた海は
我がままにはちょうどいい
今だけ甘いコーヒーを飲む

リボン
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2010年12月31日

★ヘッドフォン


清い音は捨て去った
距離はいらない
排除された空間は光に溶けている
ただ脳が変質すればいいのだ
汚い音に揺らされる

自由は平気な顔で
ありのままを押しつけてくる
今欲しいのは隔離される権利
何者でもないところで
番号を全て捨てて
埋もれる
ただ


ここ ここ ここ ここを
これ これ これ これだ
音は つなぐ
狭い あかし


曲が全て終わると
世界が暴力を取り戻す
潔くヘッドフォンをはずし
脳幹に傷を増やす
思い出の中で回る音は
すでに世界に

いつでも耳はふさげる
けれどもこの空間は
中途半端な音では消せない
世界に襲われ続ける


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2010年12月30日

★逃亡者


あの星から来たんだ
告白したけれど
信じてくれなかった
仕方ないかな

光よりも速く
逃げるようにして
願いがかなって
ここに来て

君に出会えた
世界の中で
一番幸せな僕は
君を探して
苦しんできた
時にも感謝するよ

この星空のどこかに
まだ迷ってる人いるなら
逃げればいいんだよ
宇宙は広いんだよ

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2010年12月27日

★問い


強いものになりたかった
強いものになった
弱いものは
僕の世界から去っていった

簡単なことなんだ
心を閉ざして
全てを否定して
本当を選択すれば

求めているときは
求めているだけで
求めていたことは
求められないことだった

生きがいなんて言葉
目的なんて言葉
誰が作ったんだ
その先には道がなかったよ

強いものでなければ
誰か気付くだろうか
そんなこと思うのは
心がまだ弱いから?

引き返せるの?
求められるの?
世界を
開けるの?

リボン

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2010年12月20日

★ロックな手つき


風のないところに
風を起こす
波のないところを
大波にする

そうじゃなきゃ
苦しいから
無理してでも
頑張ってしまう

ロックな手つき
それがいいんだ
鼓動が指先
踊らせている

ロックな時間
それは数分
傷付いた後
動けなくなる

風がやんだら
膝を抱えるさ
波がやんだら
涙で濡らすのさ

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2010年12月17日

★コップ


机に乗せた
罪深きコップ
何をこぼしても
消えない中身がある

君が入れ過ぎたせいだよ
何度でも
喉を刺激する
淡くて鋭い味

壊したり
捨てたら
修正が
できないから

その罪は
二人だけのもの
本当はとっくに
どうしようもないもの

猫続きを読む
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2010年12月13日

★翅


砂の中に潜って
全てを拒絶してるつもり
本当は世界を
感じているまま

今さら飛んでも
無駄だって知ってる
それなのに翅はうごめいて
砂を撥ねのけて
浮かび上がる幻想が
堕落を重ねさせる

この曖昧なままの
世界との関係性
続けるために
翅よ決して光るな

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2010年12月09日

★大地を這う



大地を這う 
どこまで行く
繰り返してる 
飽きも知らない

錆が跳ねて赤くなった
石の数よりも多くの
寂しさを乗せて走った
汽車は毎日走った

行き止まりで
後ろを振り向けば
また永遠が
平行に伸びている

夜が迫ると静かに
今日の旅は瞼を閉じる
行き先を自覚した汽車は
控えめに笛を吹いて走る

猫

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2010年12月07日

★漂流


残った生は何のために使えばいいですか
誰かを助けることや誰かに助けられること
そういうことでつながっていくこと
それが幸せだと思えればいいけど

一人の時間に時折舞い降りる
幸福すぎる孤独の呼び声に
応えようとしても声が出ない
その先にこそ何かある気がするのに

答えらしきものは全て捨てる
もっともらしいことは燃やしていい
どこまでも溶けていく感覚で
独善を突き進みたいのです

残された時間は分からないけれど
誰かという概念にはもう惑わされない
解き放たれて見放されて
漂流する幸せもあることでしょう

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2010年12月03日

★速度


教室は今私を必要としている
黒板を背負い私は語る
監視のいないこの時間に
自由は制御されて走る

教えられた記憶が縛る
作法から解放されたい
今求められ
そして求める
関係はもっと単純だと
信じる

たったこれだけの時間で
教えられる限界の手前で
立ち止まって震える
果たして
疑いも正しく扱えるのかと
信用を吟味する

扉が開いて
旋律が逃げていく瞬間
気付いた
関係などどうとでもなる
誰かが居なくなったことは
それ以上の意味はない
いつもより二秒沈黙しても
世界は速度を変えない

終わりはいつでも訪れるから
教室は何も恐れない
扉を開ければ
何度でも繰り返せるのだ

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posted by rakuha at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ★レディ・プロティノス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月01日

★3六歩


傷つけ合うことは基本楽しい
認め合わなければ殺し合いになるから
二人は出会いを歓びに変える
それでも時に
絶望が片側を闇で照らす

盤上で日は暮れる
ぶつかり合う鐙
安心していた心の隙に
見たこともない槍が刺さる
痛みを感じる暇もない
秒は有限を刻々と知らせる
汗も唾も涙も全て
逆流するほどの熱が来た

突き出されたものは
受け止めねば ならない
与えられたものには
答えを返さねば ならない
けれど
時に残酷に痛みは一方的に
覆いかぶさってきて
世界を停止させて
そして
未知の歓びを植え付けていく

二人の逢瀬が過ぎて
戦場は風に飲まれる
3六歩という歴史は
未来の引力を倍増させた
再び傷つけ合う

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posted by rakuha at 23:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ★レディ・プロティノス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月25日

★わかってる


会いたい その言葉を飲み込んで
君に 厳しさを教える
いつでも 最後は優しさが
勝ってしまった歴史を覆したい

いつからだとか気にしてないけど
心は強く決まっていたんだ
色々と駄目な君だから
いつでも必要とされていた

会いたい それはわがままで
君は 巣立っていくべき
いつでも 最初の関係を
拠り所にしてしまうのが怖い

例え何かが変わったとしても
きっと運命は決まっていて
素敵な誰かが君を奪って
逃げるのだと思い込んで

会いたい 本当は会いたくない
君が 孤独でいても
いつまでも耐えられる
それがいいと分かってるんだ わかっているんだ

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posted by rakuha at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | ★レディ・プロティノス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする